ご注文に際して リネンのこと、あれこれ。 アンティークリネンお手入れ方法
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1.リネンのこと、あれこれ。
  ・「リネン」ってなんのこと?
  ・ご存知ですか、リネンのこんな性質。
  ・使い込まれたリネンとこれから使い込むリネン
  ・昔のヨーロッパでのリネン
  ・刺繍のおはなし
  ・アンティークリネンの生産地と年代判別方法
2.リネンができるまで。
  ・「麻」と呼んでいいもの
  ・種って優秀!
  ・大切にたいせつに...
3.知っておいていただきたいこと。
  ・生地の特徴
  ・糸の太さ




1.リネンのこと、あれこれ。

・「リネン」ってなんのこと?

「リネン」と呼ばれる中には2種類のものがあります。

ハウスホールドリネン...家で洗える布製品すべてのこと。これには麻や木綿などが含まれます。ハウスホールドリネンの中でもピローケースやデュベカバー、バスタオルなどをベッドリネン、テーブルクロスやナプキンなどテーブルで使うものをテーブルリネンと呼びます。ですがハウスホールドリネンと言われることはあまりなく、「リネン」や「アンティークリネン」と呼ばれるのが一般的なようです。

植物の亜麻から作られる麻...リンシーズではこの麻のフラックスリネン、もしくはリネンがまざっているものだけを扱っています。(麻についてはこちらをご覧ください)



・ご存知ですか、リネンのこんな性質。

i. 吸水性、速乾性にすぐれているので衛生的。繊維には芯の部分に空洞があり、そこで水分を貯めたり放出したりできるからです。
ii.繊維がつきにくい。洗ったお皿の拭きあとが目立ってしまいがちなグラスも気持ちがいいほどツルッとなります。
iii. お手入れが簡単で汚れが落ちやすい。繊維に含まれるペクチンが汚れをはじいてくれます。
iv. とても丈夫。リネンは濡れると強度が2倍になるという性質があるので大事に使えば数十年はもちます。

上の4つは比較的よく知られていることで、私たちも毎日リネンを使う中で実感することができます。
実はこの他にもまだまだ知られていないリネンの性質はたくさんあります。日本よりずっと古くからリネンに親しんできたヨーロッパの方から聞いたお話です。リネン好きのみなさんもご存知なかった事もあるのではないでしょうか。マメ知識としてお役に立てればと思います。

V. フラックスの細胞は人の細胞と相性がよい。外科の内部縫合用にもフラックスの繊維は使われます。

vi. 疲労を軽減し、気分を落ち着かせる効果がある。下着やベッドリネンなどに良いとされ、よく使われています。

vii. 細菌やバクテリア、アレルギーに強く、病気から守ってくれる。学術的な研究によると、リネンのシーツを使用すると床ずれになりにくいことが分かったそうです。また、リネンの服は発疹や慢性の湿疹を軽減するとも言われています。

viii. フラックスのファブリックは化学物質、塵、ほこりを防ぎ、静電気を蓄積しない。リネンの繊維を生地に10%織り込むだけで静電気を除去する効果があります。

ix. フラックスの繊維に含まれる珪酸(silica)は、リネンの劣化の進行を遅くする。エジプトのファラオのミイラは、とても上質なリネンに包まれたまま発見されました。

X. 吸湿性、速乾性に優れている。リネン重量の20%の水分を吸収でき、それをすぐに蒸発させます。これによっていつもサラリと爽やかな手触りが保たれています。

xi. 耐久性があり、長持ちする。リネン糸はコットンの2倍、ウールの3倍もの強さがあります。

xii. 熱を伝えやすいので通気性が良い。リネンの熱伝導率はウールの5倍、シルクの19倍と言われています。夏にリネンの服を着用すると、シルクやコットンの服より3℃〜4℃も服の表面温度が下がるそうです。ある研究によるとコットンの服を着用するとリネンの服より1.5倍、レーヨンの服はその2倍の汗をかくことも分かっています。また、冬のリネンは理想的な暖かさを保ってくれます。

この他にもリネンはお洗濯を重ねることによってより柔らかく、なめらかになっていくという性質もあります。使い続けるうちにリネンに付いていく自然なしわは決して「だらしがないもの」ではなく、それこそ「リネンの味わい」なんだと考えるそうです。
それから、なによりみなさんに知っていただきたいのは冬のリネンもとっても気持ちがいいということ!リネンのシーツなどは初めはひんやりしますが、一度温まるとずっとぽかぽか。繊維の中に入った空気がサーモスタットの役割になってくれるからなんだそうです。また、冬でも寝ている間知らずにかいている汗をスッと吸収してくれますし、冬は乾きにくいお洗濯物もリネンならすぐに乾くので助かります。シーツや服、タオルなどあらゆるところで、そして1年中リネンは活躍してくれるんです。



・使い込まれたリネンとこれから使い込むリネン

大事に使い込まれたアンティークリネンには独特の光沢感、数年では決して出せないお色や風合い、手からトロンと滑り落ちるような感触やサラリとした心地の良い肌触りなどに加え、リネン本来の素晴らしい性質を十分に味わえます。また、今にはないデザインや以前の持ち主の方の香り、イニシャル刺繍...どんな風に使われていたのかというリネンの背景を想像し、古い時代から現在へ受け継ぐ楽しみもあります。

一方、デッドストックなどの一度も使われずここまできたリネンは、これから汚してお洗濯を重ねることで毎日少しずつ変化を見ることができます。ある日「そういえばすごく使いやすくなったなぁ」とふと感じる事もあって、まるで自分で育てているかのような感覚も楽しみのひとつです。何年も使えば使うほど、お洗濯によって白いリネンはより白く、フラックス色はミルクティーのような柔らかいお色になっていきます。

リネンの良さを本当に実感するためには、リネンの良いところもそうでないところも分かったうえで上手に使う事が大切です。 例えば雑菌が繁殖しにくく衛生的なリネンですが、リネンだって布ですから濡れたまま丸めておけばカビが生えてしまいます。濡れたものは広げて置いておくなり、引っ掛けておくなりしてすぐに乾かすことを意識してください。速乾性に優れているリネンならあっという間に乾きます。 また、デッドストックやあまり使い込まれていないリネンは毛羽がでることがあります。徐々になくなってきますが他の洗濯物に付くのが心配な場合は毛羽がでなくなるまでの期間、他のものとは分けて洗うことをおすすめいたします。お皿などに繊維が付きにくい、吸収性に富んでいるという特長はよく馴染んだリネンに見られるものです。 その他にもリネンはしわになりやすいという性質もあります。強いしわは一度付くと取れにくいので少し注意が必要です。

それぞれのリネンの混紡具合や糸の太さ、織り方などによって変化の速度や風合いは異なります。わりとすぐに馴染んでくるものがあれば、逆にかなりの時間を要するものもあります。リネンの手触りや見た目が一番美しくなるのは使い始めて10年後と言われています。小さなポイントをちょっと頭に入れて、焦らずリネンとのんびり付き合ってみることをおすすめいたします。



・昔のヨーロッパでのリネン

768年〜814年まで在位していたフランク王国(現在のフランス、ドイツ西部、ベルギー、イタリア北部など)のカール大帝はベルギーのフランドル地方(現在のベルギー北部、フランス北部)すべての家庭でフラックスを栽培するようにという命令をだしました。それは約13世紀もの間続き、コットンよりもはるかに多くのリネンが同じようにフランスやドイツでも作られるようになりました。その頃からリネンのナイティやシーツなどが使用され始めるようになります。

中世でのリネンは高級なものだったため、最初は王様や貴族など限られた人たちだけに嫁入り道具として使われていました。それがだんだんと一般家庭に広まっていき、リネンはベッドルーム、キッチン、ダイニングルーム、バスルームなど家中で使われるようになります。例えばキッチンだけでも、大きなお鍋を拭くドライウェル、グラス専用のグラスクロス、その他の食器を拭くキッチンタオルと用途に応じて使い分けていたそうです。そんなふうに人々の日常生活に登場するようになってからも、やはりリネンの存在は「良いもの」として位置づけられ、大切に使われていました。ときにはヘンプが代用されることもあったようです。
19世紀に入ってからは上質で肌触りの良いコットンを機械で大量生産することが可能になり、リネンに代わりそれが徐々に主流になります。

上の写真は現在のフランス、ブルゴーニュ地方です。ワインの生産地として有名なこの土地でもかつてはフラックスが栽培されていました。リンシーズでご紹介しているフレンチリネンはここで作られたものが多く含まれています。



・刺繍のおはなし

昔のドイツでは、女の子は8歳くらいになると学校で裁縫、刺繍、編みもの、かぎ針編みなどを習う授業がありました。数ヶ月に一度の定期テストもあったそうですから、当時の女性にとって刺繍がいかに生活に密着した欠かせない手仕事だったのかがうかがえます。現代に残っているサンプラーの中にも試験用に製作されたものが時々あるようですので探してみても楽しいかもしれません。

ヨーロッパで嫁入り道具としてリネンを持っていった習慣は本の中や話でよく見聞きします。これにはハウスホールドリネン、つまり亜麻から作られるリネンだけでなくコットン製のものも含まれていました。
この嫁入り道具としてのリネンに施されているモノグラム刺繍は、初めは下に花嫁/上に花婿と上下にされていたものが、時代の流れと共に左に花婿/右に花嫁と左右に刺繍されるようになったそうです。
フランスでのイニシャルは日本と同じように最初にファミリーネーム(姓)、次にファーストネーム(名)の順です。例えばイニシャルが”ML”と”MC”なら、Mから始まる姓をもつ既婚のカップルということになります。海外というとファーストネームから、というイメージがあったわたしにはちょっとした発見でした。

また、昔は一人ひとりが個人の部屋とベッドとを持っていたそうです。ちなみにフランスのシーツのモノグラム刺繍は大抵、端のほうに施されています。これはフランスの一般家庭で寝室のベッドを壁にぴったりとつけるおうちが多いから。壁際のシーツは見えなくなってしまいますのでこちら側に垂れ下がっている部分、つまり左右どちらかの端に刺繍を施したというわけです。



20世紀初めになるとワッペンのようなものにイニシャルが施されているものが販売され始め、それを縫い付けるようになりました。その時代のワッペンも驚くくらい繊細なもので素晴らしいのですが、時間をかけて一つずつ何かをすることからだんだんと簡単な方法になっていってしまうということを考えると便利さと引き換えに少し寂しいような気がします。それでもやはり今よりずっとものを大事にする姿勢や、リネンに愛情を注ぎ一生かけて使い続ける気持ちは見習いたいものですね。

ところでわたしも小さい時からずっと持っていて捨てられないものがあります。ガーゼのハンカチです。いつも自分のそばに同じものがあるという安心感があります。そのせいか色々なリネンを使ってみた結果、手に持っている時間が長いキッチンクロスはわりと目が粗くふんわりしたものや、使い込まれて柔らかくなっているリネンを好んで使っているような気がします。子供の頃は手触りの良いコットンのガーゼ、大人になってからはそれに加え、見た目も実用性にも優れたリネン...といった感じです。
      



・アンティークリネンの生産地と年代判別方法

アンティークリネンに出会うたび、不思議に思っていたことが「リネンの生産地と年代はどうやって分かるんだろう?」ということでした。本当に個性豊かなリネンがたくさんありますが、ただただ、真っ白でシンプルなリネンも年代が分かる事が多いのです。そこで、わたしのリネンの先生であるマダムに尋ねてみたところ、とても興味深いお話を聞くことができました。

昔のほとんどの農家が自分たちで糸を紡ぎ(ホームスパン)、リネンを織っていました。そのほうがリネンを買うより経済的だったためです。19世紀のはた織り機は幅が狭く1mくらいしか織れなかったため、古いシーツやテーブルクロスなどの大きなリネンには数枚の生地をつなげて使用していました。私たちがよく見かけるセンターシームのあるリネンはこのような理由からだったのですね。
その頃の一般的な農家で作られた自家製のリネンは糸の太さが均一ではなく、糸自体も太めでネップも多くあります。(糸の太さについて詳しくはこちらへ。)そのような糸の感じや織り方、また使い込まれたリネンのお色の変化などからだいたいの年代を推測するそうです。
家庭で作られたリネンは100年近く、またはそれ以上のあいだそこで使われたり、嫁入り道具などとして持っていかれたりもします。そのため、実際に糸を紡いで作ったおうちからリネンを譲っていただいた場合はリネンの生産地や年代がすぐに分かるというわけです。ちなみにリンシーズでご紹介しているリネンも、農家を1件ずつまわってその家にあったリネンを譲っていただいたものは生産地はもちろん、年代も大抵同じ頃のリネンが多くなります。

...このお話以外に、時代背景からリネンの年代を推測することもあると思います。例えばアールデコが流行った時期などはリネンも凝った織りや独特の雰囲気をもつものが多いです。そしてさらに、ヨーロッパのずっと古くからリネンに触れてきた人ならではの「勘」や「感覚」のようなものもあるのかもしれないなぁ、とも思います。もし、マダムのように「使い込まれたリネンのお色の変化から推測する」という難しい技を身につけられたら、ちょっとかっこいいですね。






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